イタリアンロードレーサー 

僕の自転車のなかで、ここでは特に「イタリア製ロードレーサー」について書いてみたい。

イタリア製の機械が好きなのは、別項でも書いたが、イタリアの自転車は特に良い。なぜ良いかと聞かれても、「速く走る性能に優れている」としか言えないが、実際速く走れるのは確か。

最初に買ったのは「チネリ」で、昔からの自転車乗りなら誰でも知っているブランド。1964年の東京オリンピックの時、各国が競って採用したのは有名な話。伝説のプロレスラー力道山が使っていたことでも有名。80年代中盤まではイタリアナショナルチームやソ連ナショナルチームなど各国に採用され、ピストなどで活躍していたが、1980年代になってチネリ一族が会社から離れた頃からか次第にレースでは使われなくなってしまった。チーノの時代の「スーパーコルサ」、アンドレアとコロンボの時代の「レーザー」が代表作(なお、チネリは昔から工房を持たず委託生産方式であるため、レーザーも「ペゼンティ」の工房で作られていたのは有名)。現在、完成車もあるが、パリパリの競技車でなくハイソカーのブランドのように扱われている。部品用品部門も縮小の一途で、寂しいものだ。

うちにあったチネリは「スーパーコルサ」で、86年式。アンドレアが居た最後の頃のもの。さすがに「自転車のロールスロイス」と形容されるだけあり、美しい自転車。しかし、現在のレース事情からすればやはり古い設計と言わざるを得ない。サイクリングでゆったり走らせるのが今時の使い方だと思う。パーツはかつてはフレームの年代に合わせCレコードなどで組んでいたりレーシングトリプルで組んでいたが、そのうちフレームだけになって壁に掛かっていた。この状態では勿体ないと思い、思い切ってオークションで2011.6月に売却してしまった。

CINELLI SuperCorsa

次に買ったのは「ピナレロ」。ピナレロはここ最近のイタリアンロードレーサーでは最もトレンドのある自転車と言えるだろう。かつては、「コルナゴ、デローザ、チネリ」がイタリアンロード御三家だったが、最近ではピナレロが元気よい。ここは世代交代もスムーズだったようで、現在の社長はなかなかのアイディアマンらしい。

PINARELLO Stelvio

このピナレロは「ステルビオ」で、98モデル。スチールのラグ付きロー付けフレーム。安いグレードなので実戦用にガンガン走らせても惜しくなく、それでいてポテンシャルもかなり高い。わざわざアルミフレームに神経使うより楽かもしれない。パーツは98コーラスとピラーだけレコード、ホイールはカンパエレクトロンのクリンチャーとヴェロフレックスマスターケブラーの組み合わせ。ハンドル廻りは3ttt。サドルはコンコールライトのチタン。

ところで、この2台を見比べてみると非常に興味深い。まず、ホイールベースが全然違う。そして、シートアングル、ヘッドアングルともにピナレロの方が立っている。後ろ三角もコンパクトになっている。ピナレロはシートチューブとタイヤの間は小指すら入らない。これだけバックが詰まっているにも関わらずデザインが破綻していないのはイタリアンマジックとしか言いようがない。

でも、ラグ付きスチールフレームは本当にきれいでいい。
その次に我が家にやって来たのは、GIOS(ジオス、ジヨス)のスーパーレコード。実はサイクリングを始めた数十年前、初めて買った「サイクルスポーツ」誌に、ジオスの工房の紹介記事が載ってて、いつかはジオススーパーレコードだ!と思っていたが、なかなかジオスを扱っている店がなくて、手に入れられなかったが、近年オークションで安く出ていたのを入手した。安かっただけあって、ボロボロの個体だが、いつかレストアするか、このボロボロも味と見てこのまま組むか悩んでいたが、レストア用のステッカーとともに売却してしまった。新しいオーナーのもとで復活してほしい。
なお現在、違うスーパーレコードのフレームが部屋に吊り下がっています。安かったので購入したのだけど状態が悪く中途半端にレストアされたもののようで、余裕ができたらフルレストアを外注に出そうかとも思っているが、予算の目処はついてません。


GIOS SuperRecord

次に来たのはオールドレーサーの雄、レニアーノ。なんとデッドストック新品だった。とりあえず衝動買いしてしまったのだが、どうしたものかこれも悩んで、やはり壁に掛かっていた。レニアーノはかつてはビアンキと双璧をなすイタリアンレーサーであったが、様々な事情により消滅してしまった。ブランドとしてはビアンキに吸収されたことになっているようだが、復活してほしいものである。現在でもクラシックレーサーとしてイタリアでは人気が高いようだ。なお、この個体は自転車が増えすぎたので売却してしまった。もうこんなきれいな個体は手に入らないだろう。しかしいつかワークスカラーの個体で自分が乗れるサイズがあったらまた購入してみたい。

Legnano Gran Premio

その次はついに登場、デローザである。自転車を始めたころからの憧れが数十年の年月を経て実現した(中古ではあるが)。この個体は2003年式のトップグレードKingである。スチールも欲しいのだが、70年代のいいものはなかなか出ない。何年か前まではちょくちょく出ていたのに最近はほんとに出てこない。出たとしてもむちゃくちゃ高い。
さて流石にこのKing、当時のトップレーサーだけあって今となっては古いけれども、最近のマシンと比べても全く遜色ない走りを見せてくれる。
ちなみに僕のKingは、お約束で総カンパ組み。なおこの機体も財政難の際、売却してしまったのだった。
なお、イタリアンロード御三家の一角であるデローザは、創業者のウーゴ・デローザ氏が現在でも代表として活躍されていることで有名(チーノ・チネリ氏は既に亡く、エルネスト・コルナゴ氏は会社経営から引退。新御三家のジョバンニ・ピナレロ氏も亡くなっている)。

DE ROSA King

その次もイタリアンレーサーの老舗、ビアンキである。現存する自転車メーカーでは最も古いと言われていて、あまりにも有名な「チェレステブルー」はビアンキの代名詞ともなっている。最近は日本に入ってくるのは台湾製がほとんどになってしまった。イタリアものは「レパルトコルセ」「HANDMADE IN ITALY」の表示が誇らしげに貼られていたが、最近では台湾製造イタリア塗装・組立ものでも「レパルトコルセ」表記されていたり、生産国論争の元になっている。
このビアンキは2000年式、かのパンターニカラーである。マルコ−パンターニは僕の好きなレーサーの一人であったが、既に亡くなってしまった。残念なことだ。ちなみにこのビアンキ、ホリゾンタルフレームの最後の年。2001モデルからはスローピングになってしまった。個人的にはホリゾンタルが好きなので、よく乗っていた機体でもある。しかし通勤で中高校生とぶつからないようにゆっくり走るのがとっても苦手。かなりボロかったためオークションに出したが、すぐ売れてしまった。ビアンキの人気は高い。

 Bianchi AL-MEGA PRO L

その次は、あのピナレロ・パリだ。ステルビオを買う時に最後まで迷った1台。98年当時はまだフロントフォークがアルミで、カラーリングも黄色単色、そしてマークも旧タイプのマークだった。
結局当時はステルビオを買ってしまったのだが、オークションを見ていたら、パリの黄色が安く出ていたので、つい衝動買いしてしまった。
このパリは、マークも新しいし、フロントフォークがアリアカーボンであるので、99から00頃のモデルだと思うけれど、確証が持てない。しかしあのパリだ。リースやウルリヒが乗ったフレームなのだ。しかしながら、この時代の特徴でもあるロゴマークはがれが発生。置き場所にも困っていたので、これまたオークションで売ってしまった。ピナレロは1台にしときます。反省。

 PINARELLO Palis

そして、またも買ってしまったのがデローザアバント。カーボンで現代のレースシーンに合う1台だろう。パーツ類は例によってカンパ主体であるが、予算が足りなくなってケンタウルやベローチェ組み。ホイールはフルクラムレーシング5という状態。レースで使う時にはキングに付けているハイペロンを使おうと思っていた。
クランクはほんとならウルトラトルクなんでしょうが、工具を持ってなかったので旧型のスクエアテーパーを付けていた。まあ旧型でも全然問題ないし。しかし足が短いのでピラーからデローザのロゴが全部出ない・・フレームサイズが大きすぎたか?安かったので衝動買いしてしまったのだが・・
因みに、フレーム形状はキングに比べるとホリゾンタルに近い。結局スローピングも流行りだったのか。個人的にはホリゾンタルが好きなので歓迎したい流れではある。なお、これまた財政難により売却。反省。


 DE ROSA AVANT

反省しては、またまたもう1台デローザを買ってしまった。ものは「ネオプリマート」である。やはり最後に残るのはホリゾンタルのスチールフレームかなあ。これによりデローザは3台目になってしまった。まだ組み上げていないが、色が80年代初期の復刻版(ブルー)なので、クラシックパーツも盛り込みながら組み立ててみようかと思っている。(画像はまた公開します)この時代は限定カラーが出回った時期で、この80s復刻カラーのほかにもKAS、FIAT、モルテーニなどのレプリカカラーがあった。


 Bianchi AL-MEGA PRO L

これもまた、ビアンキのロードを普段使いに1台持っていたくて買ってしまった1台。フロントフォークはこの時代のお約束であるタイムに換装。ややスローピングの1台だが、ホリゾンタルがあったらまた買い換えてしまいそう。(もういい加減にしとけ!)現在、ピラーはセルコフカーボン、ホイールはカムシンG3に換装

 Bianchi XL-TITANIUM


AL-MEGA PROのところで、「買い換えてしまいそう」と書いていたのが、「増車」となってしまった1台。さらにチタニウムフレームを初導入してしまった。これで保有するビアンキは3台。ホリゾンタルでチタンという、自分のイメージとしては究極の1台。しかもkingの時に懲りたはずなのに、またしてもレコード組。パーツもチタンパーツをふんだんに採用。チネリグランモなど、マニア受けパーツを揃えた。リーガルはチタンが手に入らず手持ちのもの(クロモリレール)だったが、現在はセライタリアのフライトチタニウムに換装し晴れてフルチタンとなった。
しかし初のチタンは驚くほど軽い。坂道での軽さは正義という意見に宗旨替えすることになってしまった。振動など乗り心地はアルミとスチールの中間くらいのイメージで絶妙なもの。かのウーゴ氏が素材としてはチタンが最高と言っていたのも判る。

これで後はネオプリマートを完成させるのみか・・それともふたたびking導入か・・カーボンも1台持っていたいよねえ。←
と言っていたら、また1台増えました。
 DEROSA KING X-light

やっちゃいました。KING X-lightです、またしても中古フレームだけど。パーツはやはりカンパ主体で、レコードとスーパーレコードも投入。さらに自分として初の11sかつウルトラトルク採用。これを組むために工具も買っちゃいましたが初めてだったのでBBの組み付けに悪戦苦闘。トルクレンチも導入してカーボン部品壊さないように注意しながらの作業でした。
ホイールはフルクラムゼロのワイド、サドルはサンマルコリーガルエボカーボン、ハンドル−ステムはFSAカーボンでフルカーボン仕様。まあ納得できる仕様になったと思います。前回の03キングはスローピングが納得いかなかったが、今回の06キングはほぼホリゾンタルのもの。自分にはサイズが大きめではあるけれど、昔風のシルエット(ピラーやステムの突き出しが短い)は懐かしくもあり、個人的には気に入っている。
ちなみに、現在レースに使うならプロトスとかSKピニンファリナなんでしょうが、KINGというともともとGT(グランドツーリング)のイメージがあるモデルで有るわけで、今の自分の使い方からするとこれが一番合っているのかなと思っている。
これからは火野正平さんみたくまったり走りますか。もともとサイクリングから始まったし、釣り人の「鮒に始まり鮒に終わる」になぞらえれば「サイクリングに始まりサイクリングに終わる」ってとこかな。

そんなこと言っていたら、また1台増車・・

DEROSA ProTeamTT(1997BATIK-Delmonte)

またデローザです。ネオプリマートも組み立ててないのにまた違うの買って何やってんだって話ですが、昔から欲しいと思っていたバティックカラーのフレームを入手し組み上げた1台。フォークは無かったので手持ちのTimeを取り付けた。しかし市販モデルとは違い何とTTモデル。譲ってくれた人によるとほんとにレースで使われていたものとか。本物?まさかねえ。でも選手の名前まで入っているし、細部の造りなど見るとデローザなのは間違いないようだし、レプリカにしては出来過ぎている。うーん判らない。

2023.5現在、3Tのクリップバーを取り付け、TT仕様ぽさがUP!

と思ったが2023.6には急遽入手できた3Tのバイオアームに換装しTT仕様ここに完全復活!改めて見るとヘッドアングルが超立っていてもうこれはピスト並だ。さすがにTTマシンと思わせる部分。
フレームについても普通の市販バティックはアルミかチタンなのだが、この個体はスチール。フレームにはコロンバスTSXのシールが貼ってあるのだが後貼りであることが判る。見てのとおり実際のパイプは扁平の涙滴断面チューブ、コロンバスEGOと思われる。なぜにTSXのシールが貼られていたのかは不明。他チームに探られたくなかったのか?まあデローザ自体、ベノットやモゼールほか他ブランドの塗装されて秘密裏に使用していたチーム・選手も多かったし情報戦の一環であったとしても不思議でない。選手名も部分的に剥がれていて意図的に剥がされたのかと勘ぐってしまう。
なお乗車していたと思われる選手は身長179cm、自分と身長差がありすぎるのだが、TT用ゆえにフレームサイズが小さめであるらしく、ステムやピラーを短い物にしたところ、自分でもなんとか乗れそうなポジションに出来た。
サドルはバティックマーク入りフィジークを中古ではあるが入手出来、オリジナルにさらに近づいた。


さらにまたデローザです。ものはずいぶん前から探していたスチールの赤、ネオプリマートの初期タイプ。'98頃かと思うけど。この時代はロードエンドのネオプリマートで、これが安く出てた。青の80sレプリカネオプリマートも組んでないのに・・パーツはアテナやコーラス、ベローチェなどでシフタはWレバーインデックスの9s。ネオクラシックを狙った1台。
 DEROSA NeoPrimato

と言ってたそばからさらにデローザです。プリマートより昔のシートステイフタに縦ロゴが入る時代のもの。おそらく80sの後半から90s前半頃の機体と思われるが、比較的安かったので買ってみた。デカールがボロボロだったしキズ多く価格相応のフレームではあったが、デカール剥がしてリプロ品を貼り付けたのだがこれがまた微妙にサイズが合わなくリプロばればれ。フレーム色はきれいなブルーで塗り替えるとこの色は出そうにないなと思いデカールの跡が痛々しいけどとりあえずこのまま乗るかな。部品は70sから80sのもの主体で組んでみた。ワイヤーはオープン、ブレーキはアテナモノプラナー、RDもアテナ縦型、シフターはインデックスが入手できずフリクションだがRDが8sまでしか対応できないので、インナースペーサかませて9s改の8sにしている。サドルは秘蔵の3tttを投入。
 DEROSA Professional

それでさらにイタリアン1台追加がこれ。
'98と思われるシンテシーのバルカン。一時期超安価で出回っていたフレームのようだ。シンテシーというとMTBというイメージでロードでは有名でないからかも。まあ今の時代ではシンテシーというブランド自体知る人も少ないのだろう。このフレーム新品ではあったのだがもともとはアルミのストレートフォークが付いていてボロボロのティアグラ中古パーツセットが組み込まれたフラットバーロードだった。フレーム新品なのにかわいそうなので新品部品投入して、バーをドロップに変更し軽快性を打ち出すためカーボンフォークに換装してみた。部品についてもシンテシーならばシマノのMTBシリーズが合うのだろうが、イタ車だしあえてカンパを投入。仕上がった感じはグラベルロードぽくていい感じ。

 SINTESI VALCAN

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