農機具と建設機械 その2
エンジンを掛けるという儀式 エンジンを掛けるという行為は、レースの世界だと、「ジェントルマン、ユアエンジンスタート」というように、特にルマン式スタートは儀式色が強い。 しかし、なぜレースではそんな儀式があるのか。 それは、セルモーターというものが付いてないか取り外しているからだ。大体、昔はセルなんてものは無かった。エンジンはクランクをハンドルで廻して掛けたのだ。この場合、手順を守らないと簡単には掛かってくれない。このための「儀式」なのだ。 農機具はいまだに儀式が必要で、どこの家でもエンジンを掛ける段になると「お父さん登場」ということが多い。しかし、お父さんもエンジン掛からないと「甲斐性がない」と言われるので、実は冷や汗ものなんだな。 しかし、エンジンを掛ける基本は、「いい圧縮、いい混合気、いい火花」ということは変わらない。ディーゼルや大排気量ガソリンエンジンにはデコンプが付いているので、使い方にもこつがあったり、手動進角があったりして、普通の人ではまず一発では掛からない。 しかし、昔の普通の人はこれで過ごしていたのだが・・技術の低下は否めない。 写真は、ヤンマー水平単気筒ディーゼル(デコンプ付きクランク始動) |
このエンジンは、ディーゼルでありながら、セルなんて無い。儀式の手順を示します。
1.燃料コック開を確認
2.スロットルをオフから始動へ
3.カッターを始動位置へスライドして固定(クランクの時当たる)
4.クランクハンドルを外し、クランク軸に差し込む
5.ギヤニュートラル、クラッチ切、ブレーキロックを確認
6.デコンプレバーを引く
7.クランクを廻す(60rpmくらいか)
8.デコンプレバーを放す
これで、めでたくエンジンが掛かる。
しかし、昔に思いをはせ、クランクでエンジン掛けるのも楽しいものですよ。建設機械などは、昔は「助手」という職種があって、クランク廻したり、輪止め掛けたりしたくらい。まあ、建設機械は今でも「運転(ドライブ)する」のでなく「操作(オペレーティング)する」と言うくらいで、乗る人もドライバーでなく、オペレーターと言う。 |