カタログの読み方

その1 タイヤカタログ
タイヤカタログというものは比較的判りやすく書いてある。だいたいどこのメーカーのものでも、一番後ろのページに注意書きがびっしりと載っているはずだ。これも安全をあずかる部品として重要な商品だからだろう。と同時に、自分で買う機会のもっとも多い部品ということができるのかもしれない。

タイヤの性能というのは、目に見える性能がわかりにくく、なにか魔法にかかったように「俺はB社でなくちゃいやだ」と主張する人が多く、じゃあ絶対性能はどうなんだというと、ジムカーナやレースなんかではT社やD社が、ダートではY社やOH社が強かったりして、性能面では別に劣っているとは思えず、そうなると性能イコールシェアという図式にはなっていない。つまりイメージに支配されているということですね。この話は例えばM社などがもっともうまくやった例でしょう。OK社と組んで大躍進したわけですね、というかOK社が吸収されたイメージですが・・
結論からすれば「商品開発コンセプトとイメージ戦略で売れ行きが決定している」ということでしょう。まあ、商品というものはほとんどそうかもしれませんが。というわけでタイヤの話し。

「タイヤはグリップがいいほどいいタイヤ」−△
これは、多くの人が信じているかもしれませんが、必ずしもそうではないんです。極端な話しすれば、軽トラにF1のタイヤ付けてみたとしましょう。この場合たぶん曲がることが難しいでしょう。軽トラには幅の細いゴムの柔らかさも堅めのタイヤのほうが軽快に走れるはずです。車に合ったコーナリングフォースを得られるタイヤがベストだと言えます。
「高いタイヤほどいいタイヤ」−△
上の話しからすると、いいタイヤというのは「車にマッチしたタイヤ」ということになります。ということは車の価格に比例する可能性はありますが、必ずしもそうとは限りません。
「太いタイヤはいいタイヤ」−△
太いタイヤはかっこ良くて僕も好きだけど、これもグリップの話と一緒。車がタイヤに負けていると燃費悪くなったり、操作性が変化して危険な場合もある。気を付けましょう。
特に近年は環境対策のため、わざと幅の狭いタイヤ(その代わりタイヤ径を大きくしてコロガリ抵抗を軽減もしくは接地面積の拡大を図ったもの)を標準としたものがある。
「偏平率低いタイヤはいいタイヤ」−△
インチアップと関連があるが、偏平率が低いタイヤはサイドが低い。つまり変形しにくい。ということは動力伝達力はいいはずだが、その反面路面からのキックバック等も大きく現れる場合が多い。高級車の場合には本来向かないでしょうね。
「ラジアルタイヤが絶対良い」−△
これも上の理由と同じ。ラジアルタイヤはその構造上乗り心地が固く、高級車には向かないとされていた。最近はいろいろな設定のものがあり、乗り心地を向上させたものもある。なお、ラジアルタイヤは燃費が良いとされており、環境面では良い。
「スタッドレスタイヤはゴムが柔らかい方がいいタイヤ」−△
これも、陥りやすい話し。しかしよく考えれば、もしゴムが柔らかいものが絶対なら全社そうしているはずでしょう。そうしていないというのは理由がある。ひとつは耐久性、高速安定性、そして設定路面の話し。わざと固くしてブロックパターンでメカニカルグリップを出した方が柔らかい雪面では走りやすい場合も多い。
「タイヤは溝さえあれば良い」−×
タイヤは溝さえあれば良いという考えは非常に危険。溝の深さというのは車検(継続検査)の時に測定するひとつの指標ではあるが、自動車検査員はそれだけを見ているのではない。タイヤの傷やゴム質、異常な摩耗、内部の損傷などさまざまな部分をチェックしている。走行中の異常振動など、タイヤに起因する故障も多い。
「スタッドレスタイヤ=ラジアルタイヤ」−×
恐ろしい話だが、真剣にそう思っている人が今もいて、時々雪道で事故を起こした人の話として出てくる。ラジアルタイヤというものを「万能タイヤ」と勘違いしている。これと同じ様な話で「マッドアンドスノー=スノータイヤ=スタッドレスタイヤ」と信じている人もいて、この場合はもっとたちが悪い。こういう人が雪道でよく事故を起こしている。
「チェンは駆動輪にかける」−△
これは常識としてとらえられているが、現在もFF車の後輪にチェンをかけている人がいる。ただ、これを笑うことはできない。。絶対にそれが正しいかと言えば、「普通は」という言葉が付く。つまり、遊輪にチェンかける乗り方が好きな人もいるわけだ。それで事故が防げればそれはそれで正しかったということも言える。現に後輪駆動の車で前輪にチェンかけた方が結果として良かったという場合もある。そのため良心的なカタログには「駆動輪に優先して」と書いてある。「駆動輪に」と書いてあるのは国産メーカーがほとんどだがこの表現は危ない気がする。外国なら事故の時訴えられる種になる。

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