メカばか講座  第4時限  「ハイドロ」

ハイドロって何?
と言う人も居るでしょう。ハイドロリック・システムのことですが、これでもやっぱり解らないでしょう。
ハイドロリックシステムは、フランスのシトロエンが開発し、油圧と気圧(ガス)を利用した、「統合制御
システム」のことです。
ハイドロニューマチックサスペンション、ステアリングアシスト、自動クラッチ・ギヤチェンジシステム、
ブレーキを合わせたものです。
この中でもっとも有名なものが「ハイドロニューマチックサスペンション」です。

その構成は、ガスが封入された玉、スフェアとそれにつながるシリンダーとピストンというもの。エアサ
スに似ているがちょっと違う。エアサスはサスだけだが、ハイドロはそれに加えダンパーの働きもする。
しかも、左右の系列は繋がっているというんです。不思議ですね。
言ってみれば、上の機構により、サススプリングとダンパーと車高調整装置を兼ねたようなものなん
です。
この、「ハイドロ」も年を経るごとに進化していく。スタビライザーのようにアンチロール効果をも得るよう
になっていく。
ハイドロの利点は、
・エアサスと同じく、非常に柔らかいバネが得られる
・車高調整が容易
・ばねの強さが荷重により変化する(縮めば縮むほど硬くなる)特性を持つ
・1輪だけ跳ねても、もう一方のバネと同調する。
ことなどで、徹底してボディを水平に保とうとするかのようなシステムなわけです。
高級車と呼ばれる車にはうってつけのシステムのはず。

しかし、こんなシステムをよくも商業ベースに乗せることができたものだ。1950年代に登場したシス
テムだが、その後シャシ関係でこれ以上に画期的なものがあったかというと、ちょっと考えてしまう。
現在、このシステムの思想を受け継ぐ車はわずかで、絶滅寸前と言ってもよい。

ところで、シトロエンのハイドロに替わり、最近よく聞くものに「ハイドロシステム」というのがある。
ローライダー系の車によく取り付けられるもので、要するに油圧シリンダーで車体を上下させるもの。
4輪同時や独立したホッピングなど、遊び心の強いシステムである。
油圧シリンダーの代わりにエアシリンダーを使うものもある。

ハイドロ用語

ハイドロニューマチック
ハイドロ(液体)とニューマチック(気体)を使ったサスペンション。気体がバネ、液体がダンパーと車高
調整の目的で使用される。

ハイドラクティブ

ハイドロニューマチックから進化したシステム。電子制御化され、バネの固さを制御したり、ロール規制
制御を追加したりしている。その分、普通の車の乗り心地に近いと言う人もいる。最近さらに進化(退化?
)して、ハイドラクティブ3となった。

LHM

ハイドロに使われる油の名前。色は緑で、鉱物油。これが登場する以前の油はLHSとかLHS2があり、
色は赤だった。

スフェア

バネの役割をする気体(窒素ガス)が封入されている鋼製の玉のこと。中に仕切りがあり、下側には先
のLHMが入っている。

Cマチック

シトロマチック。ハイドロリック・トランスミッション。遠心クラッチとマニュアルトランスミッションを油圧で
制御するような構成で、クラッチペダルが無い。ブレーキとも関連があり、ブレーキを踏むとクラッチが切
れる。シフトレバーも特殊で、例えばシフトアップはレバーを次のギヤにセレクトするだけで自動で、クラ
ッチ切り、ギヤセレクト、クラッチ接続をやってくれる。

セルフセンタリングシステム

パワーセンタリングシステムとも言う。ステアリングに力を入れていないと、勝手にハンドルがセンター
位置に戻される機構。高速時の直進性が良いとされている。