メカばか講座 第10時限 「法令・通達」

はじめに
すべからく、日本という国で生活し、自動車に乗ろうとするのであれば、法令を守らなければならない。法令というのは、最低限のルールであって、違法な行為は他人に迷惑であると決定され、処罰の対象ともなる。ちょっと首を傾げたくなる法令もあるが、裏読みするとこれが以外とおもしろい。文面を決定するいきさつなどを想像するのも楽しい。

くるまに関係する法令
道路運送車両法
道路運送車両法は、道路上を走行する機械を規定する法律だと言ってよいだろう。自動車は言うに及ばず、自動二輪車、自転車、リヤカー、牛車、馬そりなども該当する。
内容は大きく分けて、総則、登録、保安基準、整備、検査、整備事業に分類される。目的は、第1条を引用すると、「この法律は、道路運送車両に関し、所有権についての公証を行い、並びに安全性の確保及び公害の防止並びに整備についての技術の向上を図り、あわせて自動車の整備事業の健全な発達に資することにより、公共の福祉を増進することを目的とする。」とある。
道路運送法
道路運送法は、車そのものでなく運ぶ行為、運ぶ物に関する法令である。これは運転者個人の問題もあるが、運ぶということを生業とする事業者を規制する法令であるとも言える。旅客、貨物といったところがメインである。
道路交通法
道路交通法は、なじみの深い法令である。警察に関連の深い法令ということが言える。これは警察(公安委員会)が、道路の交通管理者だからだ。交通を管理するというと分かりにくいが、車の動きを司っているとも言えるだろう。だから車を動かす為の免許制度もそうだし、交通信号や道路標識、交通渋滞に関連する法律でもある。こうした形として見えにくいものを規定するという性格上、モノである車や道路構造物などを規定する道路運送車両法や道路法とは切っても切れない関係である。
道路法
道路の定義は幅広い。ただ舗装の表面だけでなく、道路区域というエリアに含まれるもの全てに関連している。そして、全ての道路には管理者が居る。道路というのはただころがっているだけではない。維持するだけでも結構大変なんだね。インフラとも言われるが、とてつもなく大きい財産というわけだ。この道路の目的や構造さらには作り方までを規定するのが、この法令ということ。関係する法令や技術基準まで含めるとかなりのボリュームがある。「旧道路法」というのもあり、歴史の古さを感じさせる。
その他
その他にも細かい通達などまで含めるととてつもないものなので、ここでは省略する。

道路運送車両法
車に関係する法令はいろいろあるが、ここでは車そのものを規定する道路運送車両法、そしてそれに関連する政令通達類についてもお話したい。
道路運送車両法の基となった法律は「道路運送法(昭和23年制定)」である。過去にはこの中に車両規則などがあり、車両保安行政が行われていた。
しかし、当時は戦後復興で経済の急激な膨張が発生していたことにより、運送業すなわち流通業界が発展してきた。ここで車両整備不良などによる事故の増加、また自動車登録も虚偽の申請がまかりとおるなど弊害も多く発生していた。
このため保安関係や登録制度の充実強化するとともに、運送事業関係から分離独立して制定されたのが、道路運送車両法である。(昭和26年6月1日法律第185号)
道路運送車両法の目的は第1時限で書いたように自動車の検査・登録制度、自動車の整備、整備事業を規制する法律であり、大きく分類すると、総則、登録関係、保安基準、整備、検査、自動車整備事業に分けることができる。
総則
総則は、道路運送車両法の目的が述べられているとともに、定義などが載っている。この定義は他の法律(道路運送法や道路交通法、道路法など)にも引用されている重要な部分でもある。
登録関係
登録というのは人間で言う戸籍みたいなものだ。これにより自動車の状況把握を行っているとともに盗難予防にも役立っている。また所有権を公証するという側面もある。
保安基準
自動車は保安基準に適合していないと運行してはいけないことになっている。これは安全の最低ラインの技術基準であり、これに合致していれば法的には安全の確保と公害防止を行っているとみなすことにしている。
整備
自動車は常に保安基準に適合していなければならないが、このために日常行う作業が整備である。整備は原則として使用者が自主的に行うものとされており、運行前点検、定期点検整備、場合によっては整備管理者の選任などを義務づけている。
なお自動車整備士についてもこの部分に記載されている。
検査
検査は、自動車所有者がきちんと整備を行っているか行政として最低限の部分についてチェックするものであるが、だからといって国が安全性について保証をしてくれたという訳ではない。自分の身を守るのは最終的には使用者自身である。
自動車整備事業
自動車分解整備事業というのは、これだけ自動車が多いとすべての自動車を役所だけで検査するのは不可能であることから、一定の技術・設備・人員を持った事業者に資格を与えて代行させているようなものだ。この中でも特に指定自動車整備事業者には保安基準適合標章の発行を認め、継続検査(いわゆる車検)の際に現車呈示を省略できるようになっている。
罰則
道路運送車両法には罰則規定がある。それだけ厳しい法律ということだ。最も重いのはナンバープレート等の不正使用。

構成
道路運送車両法は法律だが、その下に政令、省令、通達等がある。
政令
 道路運送車両法施行令(昭和26年6月30日政令第254号)
 自動車登録令(昭和26年6月30日政令第256号)
 道路運送車両法関係手数料令(昭和26年6月30日政令第255号)
省令
 道路運送車両法施行規則(昭和26年8月16日運輸省令第74号)
 優良自動車整備事業者認定規則(昭和26年8月10日運輸省令第72号)
 指定自動車整備事業規則(昭和37年9月26日運輸省令第49号)
 自動車整備士技能検定規則(昭和26年8月10日運輸省令第71号)
 自動車型式指定規則(昭和26年9月18日運輸省令第85号)
 自動車の登録及び検査に関する申請書等の様式等を定める省令(昭和45年2月20日運輸省令第8号)
 自動車点検基準(昭和26年8月10日運輸省令第70号)
 道路運送車両の保安基準(昭和26年7月28日運輸省令第67号)
 自動車登録番号標交付代行者規則(昭和26年7月31日運輸省令第69号)
 自動車登録規則(昭和45年2月20日運輸省令第7号)
通達
 書き切れませんので略

参考リンク
法令の条文についてはインターネツトでも見られます。僕がよく利用しているサイトを紹介します。
法令データ提供システム 総務省の公式ページ。通達などは掲載されていないが、情報量はさすが。
関係法令等一覧表 大阪府自動車整備振興会のホームページ。上のシステムから自動車整備関係を抜粋。