色とデザイン
色とデザインというものは、機械について考えた時、どのような位置づけとなるか?

色は、デザインに影響を与えるし、デザインは性能に影響を少なからず与える。それは例えば、レイアウトであり、構造上の強度であったりするかも知れない。デザインというと、性能には関係ないと思われがちだが、実は密接な関係がある。色についてもしかり。

色といえば、イタリアのモノは本当にきれいな色で、フェラーリやチネリの赤というと、日本の製品で同等以上に美しいものは見たことがない。外車には外国製の顔料をベースとした塗料で塗ることが多く、国産の顔料ではあの色は出そうで出せないというものらしい。

実際、塗装する環境(温度、湿度等気象条件)が違えば、仕上がりも違うというのは塗装屋さんの常識だが、外車が得意な塗装屋さんも確かに居て、そういう、「いい職人」の仕事は、見ても気持ちいい仕上がりとなっている。

塗装色はデザインに影響を与えると書いたが、まあ逆にデザインに最適な色を選択しているのかも知れない。このあたりになるとはっきり言って「感性の差」であって、このような、「どういう印象を与えるといいか」という事を外国のデザイナーは本能的に理解しているのでないかとも思う。色についての考え方は確かに外国と日本では違う。これは、個人的な見解だけども、目の構造上の差のようなものもある気がしてならない。

例えば、北欧人に多い「ブルーアイ」の人は、よくサングラスをかけていたりするけれど、あれは実はただ単にまぶしいからでなく、その方が見やすいからだというんですよ。そう、ブルーアイの人は夜目が効くということなんです。これは医学的にも証明されているらしい。事実、WRCで強い選手はブルーアイの人が多い。ナイトステージで強さを発揮している。

また、色に関する環境についても同じ。これは僕がイタリアへ行った時に感じたことだけど、「自然の色が原色に近い」青空はほんとに青く、土は真っ赤、海は絵の具を溶いたような、エメラルドグリーン。人の噂で聞いてはいたが、これほどまでに違うとはと、思わずボーっとしてしまったのを覚えている。あの色を見て、イタリア人の色彩感覚が日本人と違うということを理解した。ひとつひとつ取り上げれば、湿度が低いだの、水に含まれるカルシウム分が多いだの、理屈は納得できるものだが、それらの環境の差がはっきりと体感できたのは貴重な経験であったと思う。
論より証拠。下の写真はローマのトレビの泉で撮った写真です。この写真は色補正していません。PLフィルターも使用していません。ほんとにこんな色だったんですよ。

 トレビの泉で

デザインについてもそう。機能美という言葉があるが、およそいいデザインというものは、使いやすい。形そのものが美しい。どこぞの日本車というものは、デザインというと「装飾」と捉えていたりする様な気がするが、そのような上っ面だけのものは、すぐ飽きるし、役にたたない。優れたデザインは、その形に必ず性能に関する意味が閉じこめてあるものだ。

デザインとは性能の一部だと思う。

車のボディコンシャス
車のボディはインパクトのあるデザインがいい。線が細いデザインは、いい面もあるが、力強さの主張に欠ける。日本車はくせのないデザインを心がけているイメージがあるが、外国車は挑発的で戦闘的なデザインの車が多い。革新的といってもよいのだろうか。スタイリングを見てみても、国産車は大体は腰(ウェスト)が無いが、デルタなどはフェンダーが前も後ろも「これでもか」というくらい出っ張っていて、ドアはノーマルなためボディがくびれているように見えてスタイルがかっこいい。
とって付けたようなデザインであるにも関わらず、破綻していないのはさすが。こんな手法を使える日本のメーカーは日産とホンダくらいだと思うが、どうも最近の日本車はデザインをひねくりまわしたあげく、中途半端なものになっている気がする。
こまごま考えずに、割り切って作ったデザインの方が、かえって新鮮だったりする。




ちなみに僕が好きなデザインの車を挙げてみます。
・ランチアデルタHFインテグラーレ エボリューションU(今乗ってる車)
・AC427コブラ
・ランボルギーニ ミウラP400
・ホンダ シティターボ
・ニッサン スカイラインR32
・ルノー5ターボ
・ランチア037ラリー
・いすず117クーペ
などなど
要するに、「取って付けたようなデザイン」「凸凹したデザイン」が好きなんですね。特にラリー車などは取って付けたようなデザインが多い。
でもランチア037ラリーや117クーペの様にスラッとした美しいデザインも好き。
427コブラは、あのいかにもどう猛そうな顔つきがいい。スカイラインR32は全長がもう少し短ければもっと好きになれたと思う。でも国産にしてはあのリアフェンダーのラインは美しく、気に入っている。


国の色、メーカーの色
今では少なくなってしまったが、かつてF1を初めとするレースの世界では、ナショナルカラーがあった。例えばイタリアは赤、フランスはブルー、イギリスは緑、ドイツは銀、日本は白地に赤丸といった色だ。
しかし、1970年代になると、スポンサーカラーが出始め、イギリスのロータスなどは、例のJPSカラーで、エンツォ・フェラーリはロータスのことをぼろくそにけなしていた。そのロータスもF1活動の末期にはスポンサーが付かず、ナショナルカラーを取り入れたりもしていた。
いまだに頑固にナショナルカラーを守っているのはフェラーリくらいだが、そのフェラーリも広告のデカールで全身模様だらけといった状態。
このナショナルカラーとは別にメーカーカラーもあって、二輪車メーカーは特にモトクロスの世界では今でもはっきりしている。ホンダは赤、スズキの黄色、ヤマハの白、カワサキのグリーンといった具合。二輪車でもロードレースだと、ホンダのトリコロール(昔は赤銀)、スズキの青白、ヤマハは白、カワサキはグリーン(昔は赤白)といった具合。四輪車だと、ニッサンのトリコロール(昔は赤白、黄)くらいか。
しかし、メーカーもそれぞれ好きな色が分かれていておもしろい。
ランチアも有名なのはアリタリアカラーとマルティニカラーだけど、個人的にはアリタリアとジョリークラブのトーティップカラーが好きだった。これも1993年で終わってしまい、寂しい限り。残念なので、ラジコンにトーティップカラーを施してみた。

 RC LANCIA DELTA HF INTEGRALE