「イタ車談義」その20
職場の若者がイタ車を買った。なにも僕が洗脳したわけではない。自らの意思で契約したのだから問題はない。が、仮契約の頃に意見を求められた。「イタ車って、メンテナンスはどうなんですかね。」という内容。
イタ車を買おうとする場合、誰もが1度はこの問題に直面する。僕は答えた。「90年代後半以降の車ならほぼ国産と同じ感覚で乗ることが出来るはず。ただしメンテはきちんとやること、そして大事にしすぎないこと。」
これは、僕がデルタを買って、2年たった時の結論だと思う。デルタは94年式なので、エアコンの効きこそ悪いが、走りは全く問題ない。この傾向はフランス車にもあって、うちの近所で昔プジョーに乗っていた人がいるが、よく壊れたらしい。しかし、我が家の306はエアコンは良く効くし国産と変わらないじゃない、と、妻は拍子抜けしたような顔をしている。
車の当たりはずれという話しも聞くが、はずれだと言う人は何回でもはずれだと言う場合が多い。つまり、車がその人の乗り方に合っていないのだ。僕の発想は車に合わせた乗り方をするというものだが、世の大多数の人は、その車にはどんな乗り方が合うのか考えたこともないというのが正直なところだろう。
で、イタ車のメンテナンス。僕は、「信用できる修理工場を持つこと」と助言した。例えば肉屋に魚を買いに行く人はいない。イタ車を多く扱い、さまざまな修理の経験がある工場、整備士のいるところが望ましい。前にも書いたが、僕のデルタにも規定量を大幅に超えるオイルを注入してくれた二度と頼みたくないようなところも存在する。いいかげんなところだと、修理費ばかり取られて全然関係ないところをやり、直らないというパターンに陥り、結果、「イタ車は修理が高い」と思われたりする。
うちのデルタなどは、車検代も諸経費込みで約15万と、国産と殆ど変わらない。修理工場には、「じょうずに乗っていますね」とお褒めの言葉をいただいた。
そう、イタ車だからということは現在ほとんど関係ない。逆に工場を選んで車を買うことが、イタ車をはじめとした外車を買うこつかもしれない。。


「イタ車談義」その19
デルタを車検に出した。というわけで今は代車に乗っている。この代車というのが、「アルファロメオ155ツインスパーク」だった。普通、代車が「アルファ」だと言うと、「スゲェー」と思うのだろうが、ガレージワタナベのOさん、「エアコンが効かないんで、すんませんね」とおっしゃる。しかし、「そのくらい大丈夫だよ」と言ったものの、実はそれだけではなかった。Oさんが、155を移動させるのを見て「?」えらく半クラを使っている。そして、「油圧計動かないけどメーターが壊れてるだけですから」と言いながら、運転席に垂れ下がったボンネットオープナーをガチャガチャやってやっと開いたエンジンルームに納まっているツインスパークユニットはマイナー前の8Vのタイプ。オイルと水を見て「大丈夫ですね」とカギを渡されるが、座ってみてまず気付いたのが、先の半クラの理由。なんと、クラッチの切れるポイントがほとんど床の近くなんである。走り出して、「まあ、12万キロ近く走っていれば仕方ないか」と思い、信号でシート調整しようとするが、シートの動きがメチャ悪い。道端に停めてレバーをガチャガチャやると、やっと動いた。しかし、ランバーサポートは全く作動せず。エアコンは熱風を吐いているだけなので止めて、ミラーやパワーウインドを確認する。これらは一応動いた。再び走り出してみるとアブソーバーも怪しく、挙動がふわふわとしている。足元には配線のコネクターも垂れ下がっているし、「こんなので飛騨へ帰ることができるかな」と心配になってきた。
燃料計は残り1/4を指しているが怪しいので、GSでレギュラー満タンにする。39リットル入り、一応動いていることが分かった。トリップは0にしておく。フワフワ感を改善するためタイヤエアを高めにしてもらい、高速に備える。
しかし、エンジンは快調だ。オイル漏れもなかったし、8Vでアルミブロックのエンジンは「アルファ」の音がする。クラッチも使いにくいが滑っている感じはなく、なんとかなりそうだ。高速に入り、ランプを加速するとほぼ普通のアルファの加速をした。
「これはいける」一宮JCTの立ち上がりでフル加速してみると結構速い。しかし、アブソーバーの関係もあるのか、フワフワ感は解消せず、アクセルオンオフするとトルクステアが発生する。「FFだからしかたないか」と思い、おとなしく走ることにした。
しかし、高速では以外に乗りやすい。だんだん慣れてきたということもあるが、普通に流れに乗って走ることができた。
渋滞もなく思ったより速く清見ICに着く。158号の小鳥峠では、フワフワ感にとまどいながらもなんとか乗り切る。通勤ルートの峠も走ってみるが、5ナンバーということもあり、峠でもすれ違いには楽だ。コーナーの感じもデルタに慣れた体にはしっくり来ないが、思ったよりクイックに曲がる。しかし、普通に乗るにはクイック過ぎるような気がする。アルファで事故った人の話をよく聞くが、このハンドリングにいきなり乗るとちょっとやばいような気がしてならない。リカバリーしにくいというか、逆にデルタがコントローラブルなのかも知れないが・・
家に着いて、クラッチペダルで踏みしろを調整してやろうと思うが、なんと調整できないタイプだった。しかも、ヘッドランプが片方切れている。一気に力が抜けて「まーいいや1週間の我慢だ」と、このままにすることにした。
いずれにしても、ランチアとはひと味ちがう車に一週間乗るのも悪くない。これだけボロくても、何か楽しい車。考えようによっては、イタ車らしいイタ車かも知れない。


「イタ車談義」その18
今年はデルタの車検の年だ。我が家にデルタがやってきて、早くも2年がたったわけだ。計算してみると、年1万キロも走っていない。もっとも、毎日の通勤がほとんどで、遠くへ行くときは妻の車で行くことがほとんどであるから、距離が伸びないのもあたりまえだろう。しかし、車検というのはよくしたもので、車検時期になると調子の悪いところのひとつやふたつは出てくる。
最近は段差などでゴツゴツ感がするようになった。アブソーバーなのか、アームのブッシュなのか、それともアッパーマウントかと原因を推測するのも「メカばか」の楽しみではある。
よく人から、「こんな異音がするのに気にならないのか」と言われたりもするが、僕は整備士なのでその故障がどの程度まで進行しているか把握している。何事も、知らないと不安になるものだ。分かっていれば予測がつく。そして次の対策を考える余裕が生まれる。
くるまは生き物みたいなものだ。突発的におかしくなるというのはほとんどない。だいたいは予兆がある。
それを見逃すか、察知できるかが分かれ道。
うちの妻が「プジョーってよく壊れるの?」と言った。「なぜ?」と聞くと、知り合いが昔プジョーに乗っていて、よく壊れたのだとか。しかし、僕は笑い飛ばしてやった。「それはよっぽど車を知らない人だ」正しく使っていれば、車のコンディションを常に把握している人であるならば、故障とは全く無縁の暮らしができるはずなんである。
第一、フランスというのは「ル・マン」が行われるように、耐久性ということが大好きな国だ。その国のくるまが耐久性に劣っているなんて言ったら、フランスの人は怒るだろう。
車がよく壊れると言う人がいたら、それはきっと乗り方と点検整備のやりかたが間違っていると思う。

「イタ車談義」その17

最近、イタ車だけでなく「外国車」に乗っている人が増えたように思う。我が家にも2台の外国車があるが、朝、通勤などで毎日見る車も、アルファ145、155、フィアットパンダ、500、、クーペフィアット、プジョー306、206、205、オペルヴィータ、アストラ、アウディTT、VWゴルフ、ポロ、BMW、ベンツなどなど。特に多いのが、VWポロ、ゴルフとオペルヴィータ。
VWのディーラーは飛騨にはないのに不思議に思っていたが、「岐阜トヨタ」で扱っているのを発見した。トヨタの販売力にかかるとVWも売れ行きが伸びるらしい。VWと言えば、かつては「ヤナセ」と「日産」で扱っていたが、ここまで多くはいなかったように思う。ところでヤナセはVWの輸入権を失って、主力をオペルに切り替え、ヴィータを売りまくっている。しかしBMWやベンツを含めこれらは全部「ドイツ車」。他のヨーロッパ車でここまで販売網を整備しているのはプジョーくらいか。やはり販売網が完備していないと普通の人は買う気になってくれないらしい。イタ車などは「フェラーリ」を筆頭に、何処で売っているのかも判らない。「買う」ためには、主体的に探さないと買うことすら出来ない。しかし、それゆえ「この車」という思い入れと指名買いで手に入れる場合も多く、ただ何となく外車に乗っているという人が少ないのだろう。イタ車に乗る人は大抵例外なく「こだわり」を持っている。
そこまで苦労してなんで・・とは良く聞かれるが、苦労を上回る「楽しさ」があるからこそ維持できる。フェラーリ以外はほとんど知る人もいないが、逆にその他のイタ車のスゴサを知らない人が多い。ランチャなど新車の質感は素晴らしく、なんでこんなにいい車が正規輸入されないのか不思議なくらい。もっとも、マツダのせいでランチャとシトロエンのブランドイメージが完全に破壊されたからという説もあるが・・いずれにしても悲しい状況ではある。
しかし、逆に考えれば、今イタ車というのは程度の割には安く買うことができるのも事実で、「買い時」だと見ることもできる。
やはり今でも「熱いイタ車」というのは変わらない。ツンとすましたドイツ車もいいかも知れないが、やっぱりファイティングスピリット溢れる明るいイタ車がいい。熱くなれる、アグレッシブで前向き、くよくよしない、そんなとこがいい。
固定観念を取り去ってイタ車の世界へ入ってみれば「なーんだ全然OKじゃん」と思えるだろう。

「イタ車談義」その16
このところ、やっと雪も消えてきたので、タイヤを夏タイヤに交換した。以前にも書いたように、PCDチェンジャーを使用していたので、夏タイヤにするとオフセットが若干減るわけで、タイヤの太さとともに、ハンドルを重くする原因となっている。プロファイルも45になるので、(205−45ZR16)乗り心地というものを語るのは無理がある。おまけに以前から思っていたのだが、低速時にはワンダリングが出て、タイヤ交換すれば直らないかなあと思うのだが、まだ交換するには早いし、タイヤの空気圧をいろいろ変えたりして、だましだまし使っている。高速道路に入れば逆に落ち着いて、抜群の安定性を示してくれるのだけど。今年1年くらいは我慢して来年くらいに考えたい。もうひとつ手がないわけではない。いっそのことエボ1の15インチホイールを買ってしまえばいいんである。実はスタッドレスを買う時に15インチのホイールを探したがなかなかなく結局あきらめたのだが、来年の春までなら1セットくらい出てこないかなあと思うのだ。
しかし、最近のタイヤの大径化はなんとかならんものだろうか。タイヤのサイズ・規格というのは、使用実態にあわせて設定するのが筋であって、よく国産のスポーツタイプなど17インチが標準のようになってしまい、タイヤが高くてスタッドレス買うのもままならないという話しを聞くにつけ、ファッションに踊らされているだけではないのかなと思う。セッティング自体も4ポッドキャリパーだと国産の場合16インチしか付かないものがほとんど。デルタを見よ、4ポッドでもちゃんと15インチがはまるんだよ。ちなみにインプレッサの時は競技の時に15インチをはめるため、4ポッドキャリパーのレスオプションがあった。ふしぎな話である。
タイヤのサイズは街乗りに使うなら15インチの60くらいまでがいいんではないのかな。さらに最近はリム幅も広くとる傾向があり、昔タイプ(タイヤサイドがぼっこりと出るタイプ)が好きな僕としてはおもしろくない。ホイールに傷も付けやすいしね。
とやかく言っても、個人の好みの問題だが、足まわりの話はファッション性の高いホイールに目が行きがちで、マッチングということを考えていない人が多い。先のオフセットにしてもただボディと面一にしたいとか、ハンドリングに与える影響をあまりにも無視している。しかし、これは危険な話しだ。アライメントがノーマルでタイヤだけ外へ出したとすると、スクラブ半径が大きくなり、ハンドルが取られやすくなる。低速域ではハンドルがクイックになったような感覚となるが、高速域になるとコントロール性が難しくなるということで、その点を承知していないと大事故の元となってしまう可能性がある。
自動車のステアリング特性というのは、使用形態からすると一番良いと思う設定がメーカーによって与えられているはずで、ここの基本的な特性を掴んだ上で、自分の運転形態に合うようにセッティングするというのが正しい。
メーカーの技術者が何をねらってセッティングしているのか知ること。これを理解してからでも遅くはない。