写真の話                                   

早すぎた終焉
平成18年1月12日ついに、というかとうとう、あのニコンまでもが35mmフィルムカメラ事業からデジタルカメラ事業にス
イッチし、マニュアルフォーカスレンズを縮小整理すると発表した。
キャノンはとうの昔にデジタルへシフトすると言っており、コニカミノルタもフィルム事業を含めたカメラ事業全体を縮小し
ていて、ここ2〜3年前では想像もしていなかったスピードでデジタル化が完了しようとしている。
ただ、「デジタル化」というと聞こえが良いのだが、要は「35mmフィルムの終焉」なのだが、ニコンは中大判カメラ用レン
ズからも撤退を発表してしまった。
デジタルと言えども4×5クラスの大判デジカメは存在しないので、中大判フィルムカメラの存在意義はあるはずなのだが、
どさくさに紛れて不採算部門を整理してしまっただけのようにも見える。
さすがのニコンも慈善事業やってる余裕がなくなったということかもしれない。
しかしセミプロな「写真愛好家」はみなどうなるのだろうか。スナップショット系はいいとして、スタジオや風景写真の愛好
家は困るのだろうな。
少なくとも中古銀塩カメラの価格が高くなるのは勘弁してもらいたい。(2006.1.19)


石の話し
実のことを言うと、僕は石が好きなんですね。
まあ、女性ならさしずめ「宝石」というものに目がない訳だけれど、男はというと原石というか、鉱物・化石の類に興味を
持つ人が多いように思う。例えばアニメの「おじゃる丸」に出てくるかずまくんは、石をコレクションしている。小学生の男
の子はそんなのが結構居たのだ。
いずれにしても石というのは、写真にも関わりが深い。
そう、レンズっていうのは玉と言うくらいで、あれだってれっきとした石でしょう。ガラスが何で出来ているかというと、硼
砂や珪砂を溶かしてそこに稀土類などを添加し、冷えて固まったものを削り磨き、最後に金属などを母材とするコーティ
ングを施して出来上がりってなもんだ。
カメラのボディなどは金属のシャシに金属の外皮が被せて作られているね。金属だって元は石だよ。
では僕の持っている石とは・・

左はその形が有名ですが、いわゆる「水晶」クリスタルですね。人工的に作ったものがクリスタルガラスってことかな。
透明度が高くて綺麗です。
真ん中のものは?元素記号で判った人も居るでしょうが、これがフローライト(ほたる石)。ほたる石は「蛍石」と思って
いる人も多いです(紫外線を当てるとボーっと光るのは事実)が、ほんとは「火垂る石」が正解。フローライトを直訳すれ
ば判るよね。なんで溶けて流れるかというと、じつはこのほたる石、融点が低いんです。それですぐ溶けて流れるから
フローライトって言うんだそうです。ほたる石は人工的に結晶化したものをガラスのように削り、レンズとして使います。
色収差を良好に補正するので、アポクロマートレンズに昔からよく使われていた。でもとっても高価。
原石はとっても安いのにねえ。
それで右の石。もうぱっと見てこいつはレンズになりそうにない。これは金属の王様、鉄の原石(黄鉄鉱石)。んー、既
に鉄の匂いがしますよ。
鉄が無ければ、文明はここまで進歩しなかっただろうと断言してしまいましょう。ほとんどすべての機械技術に影響を与
えている鉄。カメラのどこに使われてるんだと言われそうですが、ネジや軸などはほとんど鉄ですよ。バネも鉄、ステンレ
ス鋼だって鉄が主成分ですからね。チタンだって単独では素材として使用できない。チタンって言ってるのは鉄にチタン
元素を混ぜた合金のことだってことをほとんどの人は知らない。
やっぱり鉄は最高。チタン合金も大好きなんです。真鍮もカメラの外皮に昔はよく使われたが、最近はマグネシウム合
金に押されている。
個人的には今のマグネシウム合金流行りにはちょっと不満なんですね。確かに複雑な造形のものには使いやすい金
属ですが、耐久性という点で見ると?。だいたいカーンと硬いものが当たったら割れちゃう。おまけに手入れが悪いと
時間が経過するにつれて金属中のマグネシウムが燃えてしまい、材料がスカスカになり機械的強度が低下してしまう。
何かマグネシウム合金というとF1やら何やらに使われているからいいんでしょと思っている人が多いが、F1などは極
端な話し1レース持てばいいのだからそれが正しいのであり、プロ用カメラもガンガン使ってすぐ捨てるという使い方な
のだからそれも正しい。でも一般用の何十年も使う様なものにマグネシウム合金使うのはどうなんだろう。まあ逆に最
近のデジカメなど数年しか持たないという前提なのか?もしそうならメーカーも罪つくりだ。そう考えると最後までRX2で
真鍮ボディ、GやTシリーズでチタンボディを作り続けた京セラはもっと誉められて良いのかもしれない。
そのコンタックス、珍しくジュラルミンで作られたボディがある。初代のTなんですが、ほんとはポルシェがチタンで作れと
指定したのだが、当時はチタンで作る技術が確立されていなくて、ポルシェに泣きを入れてジュラルミンにしたのだとか。
おかげでTの美品というのもなかなか存在しないわけです。ちなみにその後京セラは意地を見せて、チタンで複雑な造
形を作る技術を開発。T2やS2、Gシリーズなどにその技術を投入したという訳です。
その後も京セラはそのセラミック技術の利用型とも言うべきMIM工法(樹脂とチタン粉末の粘土状のもので成形し、焼成
することにより樹脂のみを飛ばして金属の形を得る技術)によりチタン加工技術では追従を許さない程だった。
しかしながら、丈夫なボディということは長持ち。つまり買い換えが進まない。これも京セラがカメラを辞めた理由かも。
でも細々でもいいから作り続けてほしかったと思っているのは僕だけではないだろう。(2005.11.3)


フィルムカメラの意義
今年は月例などにもちょこちょこ写真を出しているのだが、全くかすりもせず。コンテストにも2−3出したが、すっかり
忘れていた。するとある美術展に入選しているのを発見した。以前同じ美術展で準特選も貰っていたので、今回は特
選を期待していたのだが、入選どまりだったということになる。ちょっと残念。
3枚出したうち、またしても一番期待していなかったものが賞を貰っていた。2回も続くと、自分の感覚が他人とは違う
のではないかという疑問が湧く。
今回の入賞作はビオゴンの力に負うところが大きいなあと思った。コントラストと解像度のバランスが絶妙で、細かい
部分も綺麗に写し出されるその性能は、まだフィルムカメラも捨てたものじゃないと感じさせる。
デジカメはかなり進化してきているとは言えラチチュードは狭いし、明暗の差が大きい画面ではまだフィルムに歩があ
るのではないかと思う。なんといっても、フィルムはデジカメにすれば2000万画素相当の力があるのだ。
フルサイズ35mm一眼デジカメと言えども、まだ1200万画素程度。しかもCCDの特性から、古いタイプのレンズでは
画質の低下が大きいというのである。つまり、古いレンズの特徴を生かしたものを撮ろうとすれば、フイルムカメラしか
ないのだ。
こういう話しだとデジタルに移行するメリットというのは何だろう。
もともとはデジタル化が進んだ背景には新聞報道などで画像伝送の即時性が求められていたのが大きいと考えてい
る。これがニコンのD1の出現(新聞社がメリットがあると考える低価格帯でのデジカメ出現)により一気に普及したと
考えられるのだ。
新聞社は即時性を重視するから紙面で耐えられる程度の画質であればそれで良しとしたのだと思う。
しかしこれが一般の雑誌などにも普及すると現在のようなひどい状況になってしまった。10年前の広告写真と現在の
広告写真を比べてみるといい。現在の雑誌ではもう見る気も起こらないような広告写真が氾濫している。カタログや
パンフレットなどでもこんな状況ではその商品を扱う会社の信頼性をも疑ってしまう。
よく考えられた写真集などでは中大判のデジカメを使っているようだが、それとて同じ中大判カメラの画質にはとうてい
及ばない。報道のように即時性の必要があるもの以外ではトータルとして見るとまだフィルムカメラに歩があると考え
ている。
少なくとも趣味のカメラの世界ではフィルムカメラは必要なのである。だいたいフィルムカメラより性能の劣る画像しか
得られないデジカメがフィルムカメラの何倍もの価格で取引されていること自体がおかしな話しだ。
デジタル化もいいが、完全に移行してしまうのでなく棲み分けをしていってほしいものだ。現在の風潮は明らかにイメー
ジに流されているとしか考えられない。(2004.10.26)


また雲台を買う
前に「ハスキー」が欲しいけど恥ずかしくて買えない、というような事を書いていたにもかかわらず、とうとう買ってしま
った。というのも、仕事の関係などで何人かのプロカメラマンと話しをしていたとき、「やっぱり雲台はハスキーだよ」と
いう話しになったものだ。話しを要約すると、
・耐荷重10kgの機種を選ぶと、結局ハスキーが安い。
・流し撮りならパーンが軽いのはハスキー、もうこれしかない。
・重量の話しはプロの場合あまり気にしない。
・雲台の固定が確実
ということで、他のメーカーも含めていいところ、悪いところはあるが、プロの場合総合的な評価は「信頼性」に重きを
置くらしい。
とまあ、いろいろあったのだが、その操作性はやはり捨てがたく、三脚を増強したいこともあったので、購入するに至っ
た訳だ。とりあえず、雲台だけ買って使ってみることにした。
ハスキーはアメリカ製らしく質実剛健で、ちょっとくらいガタがあっても気にしない。流し撮りが楽なのは確かにうれしい。
以外にもマンフロット329よりも小さい。今回は雲台分離タイプを買ったのだが、これはパーン棒も短いということもあ
るのだろう。一体型はパーン棒は長いものが付いている。
分離型を買った理由は、パーン棒が短いことから携帯に有利なこと、ローアングル対応としたかったので、脚は別の会
社を使いたかったというのが大きい。
しかしながら今回は脚は買わなかった。というのも、想定していたジッツォの脚はやたら高額なのである。マンフロット
は安いのだが、あのへなへなな固定は信頼性が今ひとつで、手にとってはみたのだがやはり買う気にならなかった。
ジッツォを諦めるとスリックかベルボンかという選択肢もあるが、国産は耐荷重が情けないくらい小さい。
やはりおとなしくお金貯めてジッツォ買うかな。それともローアングルと重量は諦めてハスキーの脚か・・
悩みは尽きない。(2003.12.15)

 HUSKY 3DHEAD

67を買う
かつて「ニコンF」を持っていたのだが、オークションで売ってしまった話しを以前書いた。ニコンにこだわりはないが、
今回、またニコンのレンズを買ってしまった。80mm、f2.8というレンズ。そう、中判カメラに固定装着されたそのレ
ンズを使うことが出来るカメラ、「プラウベルマキナ67」を買ってしまいました。
実はこのカメラは昔から欲しかったカメラだったのですが、あまり中古市場にも流通しておらず、以前名古屋のコメ兵
や富山のキタムラカメラで見ても、すぐに手を出す状況になかった。それというのも、ツアイスレンズを集めるのにやっ
きになっていて、購入の優先順位では低くなっていたからだ。
しかし、コンタックスレンズもある程度整ってきて、残すは高額レンズシリーズということもあり、それらを買う前に中判
を揃えたいという考えもあった。しかもハッセルは66であり、67のカメラを1台は欲しかったのだ。
67と言えばマミヤかブロニカかペンタックスが定番であろう。しかし、マミヤやペンタックスはどうもなあと思い、ブロニ
カを考えたが、ブロニカは一眼であってこれならハッセルと変わらない。そうなるとトプコンかフジかプラウベルかという
ことになるのだが、コンパクトさと写りの折り合いで言えばプラウベルかな、と思っていたのだった。
今回入手したのは初期形のマキナ67だ。マキナ670の方が新しいので何かといいのだろうが、今回の個体にはグリ
ップ、ケース、ストラップ、フィルターが付いていて、お買い得感もあったので買ってしまった。
初期形は蛇腹が怪しいのだが、まあ穴が空いたら直せばいいやと思うことにした。いずれにしても裏蓋のモルトが交
換時期であり、近いうちには修理に出さなければならないだろう。
初めての67フォーマットはちょっと楽しみでもある。(2003.8.27)



プロの三脚
以前、ジッツオの三脚を買ったのだが、雲台は小さな自由雲台だった。
山行では大変重宝なものだが、ハッセルを買って以来、中判カメラにはどうも心許なく、ハッセル専用ワンタッチカ
ップリングを付けてもなにかこうしっくり来ない。
そこでそのすぐあとに雲台の大きいものを買ったわけだが、またまた通販に手を出してマンフロットの329を買った。
さすがにプロ用機材だけあって、すばらしい性能だ。剛性感が非常に高い。本当なら三脚がジッツオなので、ジッツ
オで揃えるという手もあったのだろうが、マンフロットのデザインが気に入り、これにした。
本物のプロや写真学校生ならハスキーを選ぶのが常道だろうが、そこまで行くと機材に写真の腕が付いていけない
し、恥ずかしさもある。
以前山でハスキーの三脚を持った人を見た。長身でモデルさんのような助手を連れていた。本人もすらっとした長身
で、よくいる「山写真オヤジ」とは一線を画す、クライマー風のかっこいい人だった。この人ならハスキーが似合ってい
ると思わせる、決まりすぎくらいの人だった。僕もあんな風になりたいと思ったものだ。
ところでマンフロットの329、ハスキーほど有名でないけどやはりプロ用機材。金属の塊と言ってもよい重量とすばら
しくスムーズな動作、しっかりとした固定力と3D雲台の持つもつ力とはこうだと主張する製品だ。どちらかというと無
骨なハスキーと違い、デザインも美しい。機能美という言葉が似合うイタリア製だ。
ただ問題は雲台が巨大になったため、バランスが悪くなった。ストーンバッグなど付ければよいのだが、耐荷重も厳
しい。しっかりとした大きい三脚が欲しい今日このごろだ。(2003.2.8)

マンフロット329

大衆の目
今年は美術展にいろいろ出そうと思っていたのだが、とっかかりに出した作品がなんと「大衆賞」というのを貰って
しまった。この賞は展覧会を見に来た人の投票によって決まる賞であり、審査員は関係しない。
去年は準特選をもらって喜んだのだが、一般の人の投票による賞というのも嬉しい。
しかしよく考えると、なぜ僕の作品が大衆賞なのかよくわからない。確かにキャッチーできれいな画面にはなって
いると思ったが、展覧会全体で見ると子供をモチーフにした作品が多く、人をニコッとさせるか、ほのぼのとした作
品が上位入賞を果たしており、どちらかと言えばひねた作品を出した僕としては大衆受けするとは考えられなかっ
たのだ。
コンテストに出す場合、作品を出す側も審査員のメンバーを見て出す作品を選んでいるはずで、このあたりになると
もう騙し合いの世界みたいなものだ。
今回出した美術展は、審査員は事前に発表はされていない。しかし傾向としては先のようなものはあり、審査員に
受けないだろうということはあらかじめ想定していた。
しかしまさか一般大衆に受けるとは全く想定していなかったのだ。思わぬ自信が付いてしまった。(2002.11.6)

デジカメの話
実は自分もデジカメを使っている。ものはKodakのDC4800という機種。
当時は3.1メガピクセルで、それなりに高級機種だった。
あまり画像には期待できなかった当時のデジカメの中にあって、色再現が最も銀塩に近く自然な画像と、珍しく
ストロボX接点が付いている機種ということで購入した。
ストロボX接点は便利で、外部ストロボが使えるということは、子供の学芸会や発表会という場面で俄然威力を発
揮する。うちのデジカメに関しては、「暗いところで弱いデジカメ」ということがないのだ。
しかも、ストロボを使わない撮影においても、以外と使える。ギャラリーの「夜の国際通り」を見てもらいたいが、これ
ならデジカメでも妥協できる範囲でなかろうか。尤も現在のデジカメは技術が進んだので、これくらいの画は簡単に
撮影できるものが多いだろうが、当時では珍しかったと思う。
寸法も大きく、使い勝手も良いとは言えないがスナップには十分だ。
現在においても速写性ではデジカメはかなり遅れを取っているが、風景などでは問題ないだろう。
今回、沖縄でデジカメをかなり使用したが、動くもの以外の撮影ではそれなりに使えたと思う。
しかし、動くものはやはりだめ。ヤドカリの写真を撮ろうとしたが、3枚撮って全くだめなので早々にあきらめた。
(2002.8.12)

露出計の話
露出計を買ってしまった。新品は高いので、またしても中古。ものはセコニックのL328でビューファインダー付。
これで25000円。30000円出せばミノルタのスポットメーターもあって迷ったが、スポットはサイズも大きいし、
露出計初心者としては入射・反射・フラッシュ・スポット(5゜固定だが)に使え、寸法も小振りで山でも使えそうな
L328の方が有利かなという気持ちが働き、これに決めた。
露出計を買う気になったのは、当然露出計のないカメラ、つまりハッセルを持っていたからで、プロやベテランア
マチュアなら露出計も使わずに適正露出を割り出せるのでしょうが、自分はいまいち自信もないので、とりあえず
露出の勉強かたがた使ってみようと思ったわけです。
ものは思ったより程度は良くてあまり使ってない感じ。ちなみにL328は既に廃番となっている。
光球が付いているのが標準だが54゜反射のアダプターも付属している。これを外してビューファインダーを付ける
と5゜のスポットとなる。
さっそくあちこちめがけてカチカチ計測してみる。結構おもしろい。
またひとつおもちゃが増えてしまった。(2002.7.7)

セコニックL328

プリントの話
学生の頃、プリントは自分でやっていて、現像液をはじめとする薬品は学校からの予算で購入していたものの、
フィルム・印画紙は自前だった。まあ、失敗も多いし「自分の」作品でもあることからこういう制度になっていた
のだと思うがプリントする時が問題だった。つまり全部プリントしていたらお金が持たない。
そこで僕が考えた手は、一度全部密着焼きしてしまうのである。
これを見て良さそうなものだけピックアップし、ネガチェックしたものだけ本プリントするのだ。
これは実際いい手だと思った。露光タイマーすら使っていなかったのだから密着焼きすれば本焼きのだいたい
の露光時間が予測できるのだ。
ネガの整理をしても後で見やすいし、よく考えたらいま流行のインデックスプリントと同じ様な手法をやっていた
ことになる。
ところで昔、作品展などでは人と同じようなもの出しても面白くないと思い、現像中の印画紙に光当ててみたり、
現像液の温度をむちゃくちゃ熱くしてみたり、ほんとにいろんなことをやっていた。今から思えば楽しい想い出だ。
馬鹿なことをとは今でも思うが、当時は冒険心や遊び心が強かったのだろう。
最近はどうも保守的になりつつあるようで、なかなか冒険ができないうえに、現像焼き付け自体も外注であり、
趣味性という面ではパワーダウンしている。
いずれまた、現像タンクでも買って暗室作業を復活してみたいもの。暗室作業はカメラを構えるのと同じくらい楽
しいのだから。(2002.2.16)

人の話を聞く
よくDPEをお願いしている写真屋で、「リバーサルフィルム講座」をやるので来ませんかとお誘いを受けた。
たかさんも「一緒に行かないか」と言うので、たまには人の話も聞くかと思って行ってみることにした。
某フィルムメーカーの人が講師で、フィルムにまつわる面白い話や、写真のおもしろさなど、たまには人の話も
聞いてみるものだなあと、新しい発見もあった。その後、そのメーカーが主催しているフォトコンテストの話しが
あり、審査員のみどころの傾向と対策みたいな話しもあり、なにかほんとに勉強しているような雰囲気だった。
コンテストにおける写真の評価は、あくまで「人に自分の感動をいかに正確に伝達するか」ということなので、
演出も当然OKだという話は新しい話しだと思った。ただし講師曰く、「やるなら徹底的にやる。中途半端は最も
見苦しい」ですと。たしかにそういう写真は、はたから見て楽しいものではない。逆に「すごい」と思わせれば、
撮影者の意図が伝わったということなのだろう。
人の心をつかむというのはやはり難しいようだ。
しかし、こういうコンテストというのはいい面もある。なにもせず、ただ写真を撮っているだけだと、変な「盗撮お
やじ」と思われかねないが、どこかコンテストで名前が出たりすると一目置かれて、周りの目も違ってくるのであ
る。つまり写真マニアっぽくしているほうが周りは安心でき、自分も撮りたい物を撮りやすいという場面が出てく
るのである。もっと気楽に撮りたいというジレンマと闘いながらも、わざとマニアっぽい振りをしているのである。


美術展の話し

不思議な話だが、ある美術展に出した写真が「準特選」をいただいてしまった。いままでこの美術展に出した
のは3回で、しかも1回はもう9年も昔の話し。その時の題材は満点パパと乗鞍へ登った時の写真だった。だ
から、去年に続き実質2回目の出品と言ってよいのかもしれない。
実は、今回出品したものの中には「ザイテングラードの朝」もあって、自分としてはこちらに期待を寄せていた
のだが、受賞したのは「おひるね」という作品で、満点パパからのメールで知ったとき「うそだ」と思って確認し
に行ってしまったくらいだ。
しかし、何が人に受けるのかよく判らない。技術的には接写リング使ったマクロ写真だが、倍率自体は0.42
倍でマクロ写真というより普通の写真のイメージだ。構図もカエルを真ん中に据えただけの単純なもの。工夫
したようには見えないはず。唯一変わっているとしたら、被写界深度が浅いことによるボケによる画面の省略
の強さと、目に入る色としては全面緑のみという、カラー写真というより白黒写真に近いイメージということか?
審査員に「なにが良かったのですか?」と聞いてみたいものである。しかも審査員は一般の人でなく、写真に
携わっている人たちであるという。ますます「写真に対する評価」というものがわからなくなってきた。
ただ判ったのは、「自分の思い入れが強い作品が他人に受けるとは限らない」ということだ。つまりコンテスト
だから、他人に判りやすい表現でないと評価されないということではないだろうか。
ということは、写真を撮るにしてもコンテスト向きか自分向きか選別しなければならないということだ。
なんだか趣味というより仕事みたいな切り口だ。
いずれにしても「おひるね」が見たい人はフォトギャラリーを見て下さい。

三脚の話し

久しぶりに三脚を買った。というのも、以前使っていた三脚はホームセンターで1000円均一のワゴンセ
ール品であり、たまに運動会や発表会のお子さまビデオ用としては不満がなかったものの、雲台の性能
や固定力は満足出来るものでなく、しかも最近の「マクロ撮影」には最低高さがとれず、1台いいものが欲
しいところだったからだ。
三脚も各社いろいろ出ているが、最近はカーボンが流行。しかしカーボンは高く、早々に断念。というのも、
山へ持って行くのに軽いのは利点だが、しまい寸法が大きくて(60センチ以上)たいへん邪魔。40cm以
下の4段は値段が高くて手が出ない。しかも、最低高さが低くて、重量もそこそこ軽いという希望からすると、
アルミ製が妥当だと思った。その中で信頼のおけそうな三脚というと、国産ならベルボン、ハクバ、スリック
あたりか。海外ならジッツオ、ハスキー、マンフロットあたりか。
しかし、ハスキーはローアングルができない。マンフロットはしまい寸法が大きい。スリックは段調整の金具
が気に入らず、ベルボン−ハクバは2キロを超えるという重さが弱点。
ということで、消去法から選択してジッツオとなった。ものはG1126MK2とG1175自由雲台である。
これにローアングルアダプターを取り付けて雲台上まで30cm。まあこれならと妥協することにした。4段の
ため、しまい寸法も38cmとまずまず。重量も1.5kg程度に収まった。
ローアングル命の人からすると、もの足りないらしいが、実は僕にはもう1台超ローアングル三脚がある。
これは、ハクバのフレキシブル三脚。人は「宇宙人」とばかにするが、なかなか使える。最低セット高さは、
なんと驚異の11cm。さらに、先のジッツオもエレベーターを逆さに取り付けるとなんと0cmが可能である。
これで、マクロ撮影において遅れをとることはなくなった。

 
GITZO G1126とハクバ「宇宙人」

ネットオークションと現物取引

実は、なぜか「ニコンF」を持っていた。フォトミックFTNの55mmf1.4付きと、135mmf3.5、そして、
250枚撮りモータードライブである。これだけ持っていれば立派な「ニコンおやじ」だが、あまりニコンには
執着しないタイプである。
しかし、久しぶりに取り出してみると、モルトも傷んでいて、露出計も動かない。少しかわいそうになって、
オーバーホールに出すことにした。18000円近くかかり、ボディのみオーバーホールした。レンズもやり
たいところだが、さらに投資するにはカメラの程度が悪いので、ボディだけオーバーホールして様子を見よ
うと思ったのだ。
仕上がって来た伝票を見ると、露出計調整の文字もある。しかしスイッチ入れても針が振れない。おかし
いと思い、電池室を見ると電池が入っていなかった。カメラ屋の店長に「電池入っていないじゃない」とクレ
ーム付けると、「電池は別途購入して下さい」ときた。電池はいくらと聞くと、「今このタイプは水銀のため
製造できず、アダプターが必要です」と言う。「で、いくら」と聞くと「1個3600円です。これが2個と電池も
2個となります」と言う。電池は700円。ちょっとクラッと来た。
「なんでそんなに高いの」と聞いても「はあ、独占みたいなもので言い値みたいです」という返事。納得でき
ないなあ、と思いながらも、露出計が動かないことには「フォトミック」の意味がない。やむを得ず電池購入。
結局オーバーホール代とあわせて25000円以上かかったことになる。
さっそく日曜日に撮影してみる。モノクロフィルムを使ってみた。しかし、現像からあがってきたプリントを見る
と、なにかこう、インパクトがない。よく撮れてはいるのだが、なにかひとつ物足りない。ただの記録写真の
ような感じ。
結局、「コンタックスの画像に慣れすぎて、ニコンの画像に違和感が出ている」と判断した。
そんな話しを職場の人と話していたら、「いっそのこと、売ってしまえ」と言う。確かに、無くてもこまらないカ
メラである。せっかく良いコンデションのものを死蔵しておくのもどうかなあと思い、先の職場の人にネットオ
ークションに出してもらうことにした。価格設定は、市中の中古屋で調査した価格より5000円から10000
円安めに設定した。
1回目でレンズとモータードライブは売れた。しかし、カメラは価格を下げて再出品しても流れてしまった。他
の人の状況を見ていると、30000円くらいでどうも取引されている。しかし、25000円も修理費かけたの
に、30000円ではどうもおもしろくない。しかし、32000円に価格設定したら、入札者が現れた。どうやら
落札してもらえそうである。
しかし、名古屋で中古を見ると僕のものより程度悪いものが50000円以上付けている。現物を見て選べる
というメリットはあるけれど、ネットオークションの方がだんぜん安い。入札する人も、程度が悪ければ再度
出せばいいやという価格で入札している雰囲気がある。
価格で選べばネットだが、現物を確認して選びたいという気持ちも大きい。(2001.6.30)

写真マニアの話し

僕が「元高校写真部」ということは書いた。しかし、僕の周りにいる人にも「写真マニア」と言う人たちは数多い。
僕の実兄もその一人。先般、実家へ行った時、「引き延ばし機を1台やるわ」と言われ、貰ったのだが、程度のよい美
品で、十分使える。「ネットで買った」と言う。それどころか、現像タンク、露出タイマー、乾燥器、フェロ板まで買っている。
「今時、フェロ板使う奴なんておらん」と言ったが、気にしていないよう。結構難しいんだよね、気泡入ってしまったり。
まあ、やってみれば判るだろうけど。最初から上手に出来るのは10人に1人くらいだろう。
でも、自分で写真焼くのは面白い。あれは、確かに「趣味」の領域。いろんな効果を試してみたり、自分の思い通りの仕
上がりになるまで何種類も焼いてみたり、それはそれで楽しいもの。
最近はデジタルフォトシステムが主流で、便利で安いが、画像は良くない。逆にデジカメの方が良い場合もあり得る。
当然だよね、なんと言ってもネガをフィルムスキャナで撮ってるんだから。フィルムよりいい訳がない。
これからは、大衆向けのスナップ写真と、「ダイレクトプリント」の趣味の写真と二分化が進むのだろう。
そうなると、ほとんどの人は、それなりの写真しか見ることがなくなるのだろう。
しかし、そういう「見る目」がなくなるのが、実は一番恐ろしい事。
厳しく画像をチェックする、「マニアの目」は、これから必要になるのかも知れない。

しかし、引き延ばし機貰ってしまったから、また「モノクロ」をやってみたくなってきた。現像タンクを買おうかな。

写真器材

写真というものに興味を持ったのは、やはりカメラという「機械」に関係があるわけで、高校生の頃は写真部に所属
していたこともあり、自分で現像とかするのが面白いということもあったのでしょうが、ことカメラについて言えば、当時
「キャノン派」「ニコン派」というのがまだ強くあった時代で、裕福な部員は「ニコンF2フォトミック」など持っていたりして
うらやましい思いをしたものです。当時、僕は一応「キャノン派」で、憧れはやはり「F−1」だったが、使っていたのは、
兄から借りた「FTb」だった。ただし、このFTbは当時でも先進的なカメラであり、QL機構など、他のカメラにない機能
を備えていたのは気に入っていた。
この後、兄からこのFTbを買い取り、レンズも買ったりして使用していたが、就職後、ついに「自分の」カメラを初めて
買うことになった。

このカメラが「コンタックスRTS」だった。
ニコンでもキャノンでもなく、ましてやペンタックスでもない。いまだに知る人も少ない「コンタックス」いまやマニア向け
カメラとして一定の地位は確保しているが、当時は丁度現在の「フォクトレンダー」「ヘキサー」あたりのイメージだった
と思う。カメラメーカーとしては二流だと言われていた「ヤシカ」が復活させたコンタックス。僕のRTSの底にはヤシカの
名前が刻まれている。(ちなみに現在は京セラのマーク)
だが、ヤシカが偉かったのはコンタックスを「現代のコンタックス」として蘇らせたことで、ヤシカはその新機軸を打ち出し
ニコン、キャノンと対決するために「ツァイス」「ポルシェデザイン」というドイツの大御所を配置し、万全を期して打って出た。
その思想「リアルタイムシステム」は一部のマニアに歓迎され、現在のコンタックスファンを作り上げた。


                      左から、ニコンFフォトミック、コンタックスRTS、ST、T2

いま、我が家には3台のコンタックスがある。
先のRTSと、STT2
STはRTS3が出た頃、これの廉価版のようなイメージで売り出された。RTS3の実勢価格が当時ニコンF3の倍近くして、
「これはいいけど買えない」と考え、STを買った。バキューム以外はRTS3に近い性能を持っていた。ボディが真鍮製という
のも、今は懐かしい。今はマグネシウム合金が流行で、今後真鍮ボディは廃れていくのだろうが、使い込んで行った時は
真鍮の方が味のある色になると思う。
T2はいまだにマニアあこがれのカメラであるらしく、以前荘川桜の前でシャッター押すのを頼んだら「コンタックスですね
、いいカメラを触らせてもらってありがとう」と言われた。そのおじさんはキャノンのイオスを使っていたにも関わらずである。
まあ、一眼レフのイオスより高い「バカチョンのT2」ということもあるのだろうが。まあ普通の人が買うカメラではない。シャッ
ターボタンが人工サファイア、ボディはチタンで、我が家のは珍しいチタンブラック。マニア向けらしく、金メッキワニ革やフル
ブラックなど限定カラーも存在した。