ContaxとZeissT*のこと

第69話  139QUARTSの話し

久しぶりに実家へ寄った。実家の兄はやはりカメラ好きなのだが、最近は使うカメラはデジカメばかりだという。そんな話しをしていたら、「これをやるよ」と139QUARTSを持ってきた。
使わないので自分が持っているよりいいだろうと言うので、ありがたく貰うことにした。
実は、139QUARTSには思い出がある。
第1話にも書いているが、もともと高校生の頃は兄のCANON FTbを使っていた。
その後就職して始めての自分のカメラとしてCONTAX RTSを買ったのだが、このとき販売されていたもうひとつのCONTAXが139QUARTSだったのだ。
ニコンFの中古を諦め、ツアイスレンズで勝負しようと決めた時、レンズを重視するなら139QUARTSという選択肢もあったのだ。しかも139QUARTSの方が設計が新しく、シャッターもRTSの横走りと違い、縦走りシャッターで、寸法もコンパクトでありながら高級感もあるというのは珍しい存在だった。
最終的にはフラッグシップ機であるという理由だけでRTSを選んだのだが、いつかはサブ機として139QUARTSを買おうと思っていた。
しかし時代が変わると139QUARTSの程度のいい個体は手に入りにくくなってしまった。良いカメラゆえ、程度の良いものは手放す人も少なかったのだろう。
結局買いそびれてしまい、今まできてしまった。
そのカメラが今手元にある。不思議なものだ。
あらためて手にした139QUARTSをきれいに掃除しファインダーを覗いてみるが、付いていたプラナー50mmf1.4のレンズが駄目だった。ファインダーで見てもレンズの曇りが判るくらいだったのだ。
そうそうにレンズは諦め(修理に出すより中古を買った方が安い)、テッサー45mmを取り付けた。139QUARTSが出た時から、この組み合わせが最強と言われていた。
改めてファインダーを通して見た景色は、肉眼で見るよりコントラストが強く、シャープだ。これで30年前の感動が完全復活した。
デジカメが幅を利かせているとはいえ、まだまだフィルムカメラの画像を捨てきれる程のものはないと思っている。
解像力はフィルムを上回った?画像処理エンジンがいい???・・それってカメラの話しなのか?電子機器の技術が優れていればいい画が撮れるのか?
デジカメは画像を再構築しているのだが、カメラは本来「画像を定着させるもの」ではなかったか。
139QUARTSのファインダーを覗いて、改めてカメラの本質を見た気がする。
(2009.3.29)