ContaxとZeissT*のこと

第64話  TvsDIGITALの話し

実はずいぶん前にTvsDIGITALを買っていた。
フィルムカメラが少なくなり、フィルムメーカーもフィルムの新製品は出さないし・・と思っていた頃、それまで使っていたデジカメ(コダックDC4800)の調子が悪くなり、買ったのだった。
このTvsDIGITALに搭載されているレンズはもちろんフィルムカメラ用の流用ではなく、新規開発されたものだ。
このカメラは爆発的に売れるとは想定されないのに、開発費は相当掛けたはずで、質感もTシリーズの伝統を守って非常に良いものに仕上がっているのだが、発売された2003年当時の他社デジカメと比較すると機能的には物足りなく見える。
決定的にはとても古いコダックDC4800と比較しても速写性に優れていると言えない。
京セラもこの点については判っていたと思うのだが、フィルムカメラと同等の速写性がなければ受け入れられるはずもなかった。
コンタックスブランドで最後のものとなったU4Rとi4Rでは高速画像処理システム「RTUNE」が搭載されていたが、結果的には巻き返しのタイミングを逸して、CONTAX事業のみならずカメラ事業自体を終了させなければならなかったのではないだろうか。
終わってしまった話しに「もし」はないが、TvsDIGITALにRTUNEが搭載されていればまた違う展開があったかもしれない。
そういう意味で、TvsDIGITALはNマウントとともにCONTAX事業にとってクリティカルな存在だったのだろう。
(2007.5.26)