ContaxとZeissT*のこと

第58話  南イタリアの青

8月2日から8日間の行程で、南イタリアへ行ってきた。自分のテーマとしては5台のツアイス搭載カメラを同行させ、半ば伝説となっている「ツアイスはヨーロッパの光ではノーマルな発色を示す」という現象を確認してみたいというものだった。
結果から言うと、「確かに南イタリアの光ではノーマルな発色をする」ことを確認した。
今回持参したレンズで、日本で特に黄色っぽいなと思っていたのはビオゴン21mmとゾナー38mmだったが、仕上がってきたポジを見る限り確かに発色はノーマルに近いのだ。
(ゾナーは若干暖色かなとも思うが、日本で撮ったものとは比べ物にならない)
黄色っぽいのがノーマルに写るので、ベルビアで撮ったものなどは(特に早朝)真っ青に写ってしまうくらいなのだ。海外でベルビアを使う時は注意した方が良いということが教訓として得られた。
今回使用したフィルムは全てフジのもの。コダックならまた違う結果だったかも知れないが、それは次回の課題にしようと思う。
ところで、ヨーロッパでの暖色傾向が抑えられる現象に関連深い事実をひとつ確認した。
そう、空の青さだ。
写真を見てもらえば一目で判るように、「夏においても空は水色でなく青色」ということだ。
日本の空は湿度が高いことも影響しているのだろうが、春から夏にかけては概ね水色の空が多い。秋−冬はかなり青い空なのだが、前にも書いたとおり冬場は太陽の入射角が寝ているので、直接光については青色が減衰しているはずなのだ。
つまり、イタリアの光は夏であっても直接光の青色成分が多く、また間接光となる空も青い光で照らしていることになるのだ。
直接光に青色が多い証拠はもうひとつある。
今回の旅では海に出ることがしばしばあったのだが、海の色がほんとに青いのだ。
日本のような緑色に近い青でなく、もう紫に近いくらいの青なのだ。
海水は自ら光ることはない。ということは海の色=海水面の光の色に影響されると思われ、青色成分が多いのではないかと考えられるのだ。
いずれにしても次にヨーロッパへ来る時の貴重な情報として記憶しておこうと思う。

(2005.8.29)