ContaxとZeissT*のこと

第50話  Gシリーズの行方

2004のフォトキナで「ツアイスイコン」というカメラが発表された。
35mmのレンジファインダー式フィルムカメラで、設計、プロトタイプはツアイスでやったというが、市販版は日本のコシナで作るというのである。そのレンズはデジタル対応で、レンズマウントもZMマウントというライカMマウント互換のものだ。レンズも7本のうち15mmと85mmを除く5本はコシナで作るという。
コシナと言えばフォクトレンダーを作っている会社なのだが、フォクトレンダーはツアイス傘下にあったメーカーでもある。それがローライに吸収されてその後コシナがそのブランドを名乗る権利を取得したわけで、現在はライカマウントを採用しオールドレンズファンにかなりの数が売れている。またローライにもOEMでボディを供給し、35RFというカメラを作った。これにはなんとツアイスのレンズ(ただし
T*ではなくHFTコーティング)が搭載され、コシナとツアイスの関係も接近していただけにツアイスイコン復活に際してボデイ製造メーカーにコシナを指名したと言うのも判る。しかも驚くことにカメラの販売チャンネルはハッセルブラッドの系列で流通させるというのだ。ローライ35RFを駒村商会で販売しているのに似ている。
しかしここで疑問が湧く。ツアイスの純正装着ボディはコンタックスで、パートナーは京セラ、販売チャンネルも京セラルートだったはずだ。
T*レンズが正式に装着される35mmカメラはコンタックスだったはずなのだが・・一体これは何を意味するのか?
しかしここにひとつヒントがある。中判の世界では、ツアイス
T*レンズを搭載するのはハッセル、アルパ、ローライ、コンタックス、ジナーと複数存在するのだ。よく考えれば35mmだってローライが使っているのだから、まるで供給先を複数作って競争させているような感じにも見える。
しかも今回発表された7本のデジタル対応レンズはどこのメーカーが使ってくれてもいいともいう。ライカを想定しているのだろうが、非常に間口の広い営業手法だと思う。まあもともとライカにもホロゴン15mmをはじめ事例は少ないがツアイスレンズが供給されていたくらいだし、もともと多方面展開だったのが現在はたまたま整理されただけというのが正しいのかもしれない。
きっと京セラはあわてているだろう。同じツアイスを搭載しているなら、商品の魅力に乏しい方が駆逐される可能性も否定できない。発売から10年が経過したGシリーズが生き残るためには「流石はコンタックスだ」と思わせる新製品を開発するか、さもなくば2005年にヤシカコンタックス発売30周年を機に撤退、コンタックスブランドを譲り渡すのか?
コシナは情熱あるカメラメーカーだし、小回りが利き、勢いもある。ツアイスのパートナーとしては申し分ないだろう。では京セラはどうするのか?かつてのツアイスイコンのように工場を切り売りしてしまう道をたどるのだろうか。
だがGシリーズの「ホロゴン」や「ビオゴンらしいビオゴン」をこのまま無くしてしまうのは非常に惜しいと思うのだが・・(2004.10.3)


ホロゴンを始めGシリーズレンズもクラシックレンズの仲間入りするにはまだ早い