ContaxとZeissT*のこと

第38話  マクロレンズの話し

ヤシカ−コンタックスマウントのレンズにも、当然のことながらマクロレンズがラインナップされている。
昔々まだヤシカコンタックスが出た当初はマクロプラナーではなく、S−プラナーという名前だった。僕の60マクロがそれだ。当時のマクロはこの60mmと、直接ボディに取り付けることが出来ない100mmがあった。60にはカッコ書きでマクロ、100mmの方はベローズと書かれていた。100mmは蛇腹に取り付けるレンズだったのだ。しかしさすがに蛇腹式は売れなかったのだろう、100mmは製造中止となり、60mmと同じく鏡筒にレンズを収めた「マクロプラナー100mm」が登場した。
その頃はマクロプラナーはまだドイツ製だった。
マクロレンズの性能ってなんだろう。もともとはコンタックスのアクセサリーにもマクロアダプターやスライドコピアがあったりするので、「複写」というものを念頭に置いていたには違いないが、マクロレンズのおいしい使い方はやはりその近距離性能でないかと思う。
ツアイスの望遠系レンズでは、マクロプラナー100mmとゾナー180mmだけにフローティング機構が採用されている。近距離収差補正機構と呼ばれるこの機能によって、望遠系レンズが苦手とする近距離撮影を克服して、共に名レンズの呼び名が高い。これらを使って撮影したものは、見た瞬間に「これはいい」という気持ちにさせてくれる。
複写レンズから一般撮影用への移行、これを決定づけたのはマクロプラナー60mmのCレンズだろう。コンパクトの名を持つこのレンズは、まさにネイチャーフォトの為に作られたのではないかと思うくらいだ。
初めてこのレンズを山へ持って行った時、山ではこれ1本で全て対応出来るのではないかと思ってしまった。山をバックに花のアップを撮ってよし、記念撮影ポートレートもよし、朝焼けの山を撮ってもよしという、頼りがいのあるレンズだ。
Sプラナー60mmと同じレンズを使っているとは思えない色再現の差はあるが、装備を軽量化したい山行では欠かせないレンズとなった。(2003.8.27)