ContaxとZeissT*のこと

第24話  オリンピアゾナー

いわゆる「オリンピアゾナー」の末裔を手に入れた。これは1936年に開発されたと言われており、その年のガルミッシュパルテンキルフェン冬季オリンピック(ドイツ)、ベルリンオリンピック(ドイツ)での撮影に威力を発揮した焦点距離180mmでf2.8のレンズのことを言うらしい。
言うらしいと書いたのも、当然その時代に僕が生きていたはずもなく、当時のそのレンズのすごさが実感していないからだ。データとして見れば確かに当時の水準からするとずば抜けた性能だったのは間違いないが、それを使って素晴らしい写真を撮影したカメラマンの技も評価しなければならないだろう。
まあその系列を引くレンズとはいいながら、現在のものは当時のものとは違い再設計されたものだ。本物のオリンピアゾナーは旧コンタックスレンジファインダー機にミラーボックスを介して取り付けるなどして使用した。その後東側の一眼コンタックスにも使用されたものだ。
再設計された現代の180mmf2.8は、大口径望遠であるからしてその性能に期待するのだが、これはなかなか手強いレンズだ。なんといっても重い。
ツァイスレンズを使っている者が「重い」と言うのは禁句に近いが、パッと持った時大きさの割には重たいと直感するのだ。
まあ、ディスタゴン25mmやプラナー85mmを持った時もそうだったのだが、180mmは以前使っていた他社の300mmより重たいのでないかと思ったくらいだ。まあ、300mmくらいになるとテレテッサータイプが多いので軽いのかもしれないが・・
ところでこのゾナー、ヤシカ時代にマイナーチェンジを受けた後に、珍しい装備が付いた。そう、フローティングシステム(近距離収差補正機構)だ。
フローティング機構は非対称型の広角レンズや大口径のレンズによく採用されている。
ツァイスの望遠系レンズではこのレンズとマクロプラナー100mmだけがフローティング方式を採用している。それだけ力の入ったレンズだとも言える。
そんなすごいレンズではあるが、実際にその全性能を引き出せるほど自分の腕がいいとは思えない。まずいろいろ撮ってみて自分の思うように撮れるまでにはずいぶん時間がかかりそうだ。
実際に使ってみると、発色はかなり黄色っぽい。コーティングの色がブルーが強いので、ある程度予測は出来たのだが、これは設計製造が古く、硝材も古いタイプのためと思われる。
またいろいろと世間で言われるように逆光にとても弱い。内蔵のフードは役に立たないのでNo.5のフードを付けているが、太さのバランスが良くなくて格好は悪い。しかしながら、望遠レンズでこれほど明るいファインダーはやはりうれしいものがある。ボケ方はやはりゾナー独特のぼわっとしたボケ方で、好みが分かれそうだが、無理して開放で使わず1段か2段くらい絞って撮ると、遠景では強烈な解像度を発揮してくれる。