ContaxとZeissT*のこと

第17話  禁断のマウントアダプター

美術展で「準特選」をいただいた記念にカメラを買った。ものは前から欲しいと思っていたG1である。当然中古だが、非常に程度が良かった。新品と言ってもよいくらいの品だった。
G2が出てからというものG1の凋落はすさまじく、たたき売り状態。新品で買うのがばからしくなってしまうくらいだ。
それで僕はズーム使う訳でないし、G2のフォーカスダイヤルも気に入らないことからG1にした訳だ。もちろんビオゴン21mmが使えるようになっているタイプであることを確認したのは言うまでもない。
ところが、僕は今回G用レンズを買わなかった。なぜかと言うと、せっかく1眼用レンズが充実してきたのに、さらにもう1シリーズのレンズを増やすのはつらいものがある。
確かにGシリーズのレンズは設計も新しいし、その性能は良く知っている。しかし、G1はAFも遅いし、特に使いたいのはビオゴンとホロゴンなので、標準から望遠は1眼のMFで行こうと考えていた。これはもちろん1眼のディスタゴン広角レンズが庶民の買える値段でないことも影響している。
そんな理由からGシリーズを買うに当たって、MFレンズアダプターを購入した。
このアダプターで使えるレンズは限りがある。フィルター径55mmまでで28mmから85mmの間のレンズしか使えないのだ。これは当然で、これより大きいレンズを取り付けるとファインダーが隠れて、測距機能が使えないのだ。パララックスも補正されない。
まあ測距機能が使えても、そのデータをいちいち確認して距離リングを合わせないといけないという「構えて撮る」カメラになってしまうわけだが露出計はマニュアルで使えるし、マニュアルカメラを使える人なら問題ない。
先進のAF機を完全マニュアル機として使うのもある意味すごいが、ホロゴンはこの使い方になるので練習としてもいいと思うことにした。
ところでMFレンズを付けたG1はGレンズ装着とはまた違う格好良さがある。
しかし、このマウントアダプターは実は恐ろしい機能がある。測距機能も露出計も使わない撮影であればさらにアダプターを付けてM42レンズ群が使用できるのだ。
ここまでくるとまさに禁断の領域だ。カメラ側で使う機能はシャッタースピードのみという究極のマニュアル機になってしまう。
ツアイスを使う者のダークサイド、その一線を越えるところがこのアダプターなのだ。
いっそのこと、ミラーボックスくらい売り出してみないものかな。