ContaxとZeissT*のこと

第12話  レンズとフィルム

ツァイスのレンズが日本のレンズと色再現が違うことは書いた。しかし、このことについて普通の人はあまり気にしていないような気がしてきた。
そう思うようになったのも、レンズの色特性より、フィルムの色特性の方が強く影響するのでないかと考えるようになったからだ。
フィルムはレンズより発色の差が大きく現れる。コントラストや解像度もフィルムに影響される面がある。
そうなると、レンズの差って一体なんだろう。
これでは、同一のフィルムを使ったという条件下でしか話ができないことになる。
この話は、自動車で言うタイヤの話しに近い。車が良くてもタイヤが合っていないならば、実力は100パーセント発揮できない。
そう考えると、フィルムの選択というのは非常に重要だと思う。
このごろはリバーサルというと、RVPとRDP3で決まりみたいな感じだが、これとて万能ではない。RVPは露出に寛容で色が鮮やか。しかし、コダックでも新製品がいろいろと出て、一時ほどの差はないと思う。
RDP3は色温度が高い傾向がある。プリントより映写重視の設定なのだろうか。ポートレートで曇天ならコダックに分がある気がする。
まあ、総合的な使いやすさから言えば、やはりRVPとRDP3と思う。ただし、コダックはいろいろな特性のフィルムをたくさん作っていて、ツボにはまった使い方をした場合にはフジをしのぐこともあるかも知れない。
結局、自分の主な撮影対象によって選ぶということになるかと思う。
しかしコンテストなどはプリントが多く、ラボもフジが圧倒的に多い。やはりRVPとRDP3ということになってしまうのだろうか。

その上で、レンズの話し。フィルムの選択が決まったあと、レンズ性能の差が現れる。
これは個人的な見解だけれども、国産のレンズは絞りが4から11くらいの常用絞りの間で、最も性能が発揮するように作られているのではないだろうか。
対するツァイスは、開放から最小絞りまで、ほぼ同一の性能に作られているという感じがする。どちらがいいのか。それはわからない。
しかし、AFとプログラムAEが普通の世の中では、常用絞りしか使わなくなるのは確かだろう。そうでなければ、手ブレ防止機構やソフトフォーカスレンズなどを作っている理由がわからない。でも、これは映像表現の幅を狭めるようになる気がする。さらに、大口径レンズを作る意味が、シャッタースピードの高速化だけになっているような気がする。
どうも最近は絞りよりもシャッタースピードを重視する時代らしい。
報道写真家やスナップ派ならそれでもいいだろうが、映像表現派にはどうなんだろう。
そこへもってきて、ズームはやりだ。だからレンズ構成も画一的になっている気がする。つまりどうあがいても表現手法が似てくる。こうなると、なにか見慣れてしまって感動が少なくなってしまう。
これって、おもしろくないと最近思う。